第12回は医療機関が活用できる4つの補助金・助成金制度をご紹介します(医療機関の所在地が東京都内に限るケースも含む)。サイバーセキュリティ対策にはコストがかかり、その負担が課題となっていますが、こうした国や自治体による制度を活用することで、医療機関は効率的にセキュリティ対策を強化することが可能です。(2024年9月末現在の情報です)
医療機関が利用できる補助金・助成金制度
補助金・助成金制度名 | 提供元 | 補助金額 | 補助率 |
サイバー攻撃一時支援金・個人情報漏えい一時支援金制度 | 日本医師会 | 5万/10万〜30万 | N/A |
IT導入補助金・セキュリティ対策推進枠 | 経済産業省・中小企業庁・IPA | 5万〜100万円 | 1/2以内 |
サイバーセキュリティ対策促進助成金 | 東京都中小企業振興公社 | 10万〜1,500万円 | 1/2以内 |
病院診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業 | 東京都保健医療局 | 500万/1250万/ 3500万 | 1/2以内 |
尚、今年度の申請受付がすでに終了している場合もございます。最新の情報は、各制度の公式サイトや関係機関にてご確認ください。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
1. サイバー攻撃一時支援金・個人情報漏えい一時支援金制度(日本医師会)
この制度は、サイバー攻撃や個人情報の漏えいが発生した際に迅速に支援を受けられる補助金制度です。対象は日本医師会A①会員で、サイバー攻撃発生時の初期対応費用を支援する制度となります。
対象:日本医師会A①会員
支援金額: サイバー攻撃を受けて個人情報が漏洩した場合: 10万
攻撃を受けて一日以上休業した場合、休業日数✕10万円(最大30万円)
サイバー攻撃に起因しない個人情報漏洩の場合: 初期支援費用として5万円
参考:『日本医師会サイバーセキュリティ支援制度』https://www.med.or.jp/doctor/sys/cybersecurity/001566.html
『ご存知ですか?? サイバーセキュリティ支援制度』https://www.med.or.jp/dl-med/doctor/sys/cyber_leaflet_v2.pdf
2. IT導入補助金・セキュリティ対策推進枠(経済産業省・中小企業庁)
これは中小企業を対象にITシステムを導入する際の費用を支援する制度でこれにより中小企業の生産性向上を目的としています。その中のセキュリティ対策推進枠では独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が定める「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の利用料に対して最大2年分の補助が付与されます。お助け隊サービスとは中小企業のセキュリティ対策に不可欠なサービス(相談窓口、異常の監視、インシデント発生時の初動対応、簡易サイバー保険)をまとめたパッケージで安価で提供するサービスです。
対象: 医療法人・社会福祉法人・個人病院・診療所(従業員数など諸条件あり)
補助金額: 5万円〜100万円
補助率: 1/2以内
参考:『IT導入補助金2024セキュリティ対策推進枠』https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/security/
『サイバーセキュリティお助け隊サービス』https://www.ipa.go.jp/security/otasuketai-pr/index.html
3. サイバーセキュリティ対策促進助成金(公益財団法人 東京都中小企業振興公社)
この制度は、東京都内在籍の中小企業が「自社の企業秘密や個人情報等を保護する観点から構築したサイバーセキュリティ対策を実施するための設備等の導入」に対して、助成金を提供するものです。医療機関に関しては医療法人以外の個人病院や診療所であれば申請対象となるようです。申請するには独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施しているSECURITY ACTION の二つ星を宣言していることが条件となっています。
対象: 東京都内の個人病院・診療所(従業員数など諸条件あり)医療法人は対象外
助成金額: 最低10万円、最大1,500万円
助成率: 1/2以内
参考:『公益財団法人東京都中小企業振興公社 サイバーセキュリティ対策促進助成金』
4. 病院診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業(東京都保健医療局)
この事業は「医療機関におけるデジタル化を促進し、安定的な医療提供体制を確保していくことを目的」とした補助金制度です。対象となるのは東京都内で電子カルテシステムを導入している医療機関で、「電子カルテシステムの運用に係るサイバーセキュリティ対策に必要な機器等」の購入及び設置費用を補助します。
対象: 東京都内で電子カルテシステムを導入している医療機関
補助金額: 200床未満は500万 / 200床以上〜500床未満は1250万 / 500床以上は3500万
補助率: 1/2以内
引用元:『令和6年度病院診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業』https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/iryo/jigyo/h_gaiyou/cybersecurity.html
まとめ
サイバーセキュリティ対策は医療機関にとっても欠かせないものですが、国や自治体が提供する補助金制度を活用すれば、安全な診療環境を整えることが可能になります。今回はご紹介していませんが東京都のほか、山口県や鳥取県でもサイバーセキュリティ対策向けの補助金制度が提供されています。医療機関の所在地・地域ごとにそれぞれ異なる補助金制度が存在する(または今後導入される)可能性がありますので、該当する自治体の制度を確認することをお勧めします。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
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